日々、散文。好きなもの三昧。ナルトとか野球(巨/人・ワク)とかサッカー(俊/輔)とか(本誌ネタバレあり。ご注意ください)
Posted by りい。 - 2008.11.19,Wed
「俺ってさ、やっぱ教師には向いてないと思うのよ」
ぷか~っと煙草をふかしながら、舞った煙は真上へと上がった。
「何、言ってんのよ」
呆れたように言い捨てたのは、紅だ。暫くは子育てに専念していたが、近年働かないととまた戻って来た。
「いやぁだってさぁ」
なんとなくぼやきたくなったのには、ちゃんと理由がある。
「なに?新しい子、面倒みろとか言われたの?」
「そうなんだよなぁ」
「仕方ないんじゃない」
「はぁ?」
「まぁカカシ程の忍びを里においておくのは勿体ないけど。それ以上に、先を見据えてのことでしょう?」
「俺はいつまでも最前線がいいんだよねぇ」
「そんなこと言って。目はどうなの?」
「あ~普通よ」
「カカシのそーいうのはどこまで信用していいのか、わからないわ」
「いやいや、マジで普通。最近、あんま使ってないしね」
「火影さまもあんたのことを思ってのことでしょ?」
「それはわかってんだけどさ。それでも、なんか今度引き受けたら隠居って感じがするっつーかなんてーか」
「教育するっていいもんじゃない」
「ま、それも否定はしないけどねぇ。それでもやっぱ、俺は向いてないと思うんだけど」
「元々、そーいうタイプよね」
「そうそう」
「でも、仕方ないんじゃない」
ふふ、と笑う紅からは、また同じ台詞、だ。
「今やナルトは次期火影候補にあがるくらいな忍びになったし」
「あ~でも、ほら。ナルトは早い時点で俺から離れてるしさ。あれは、もう自来也さまの功績だろ」
「・・サクラだって」
「サクラはなぁ・・俺、結構手掛けれなかったっつーか・・ちょっと悪いことしたな、と思ってたんだよなぁ。それでも、あの子は元々基本はずば抜けてたし、チャクラコントロールとかも男共より全然良かったし。自分で道を見つけたすごい女の子ってことだな。ほんと俺、全然だったし。今のサクラがあるのは、一重に綱手さまが居たからだろ」
「じゃ、サスケは?」
「ん、んー」
「サスケくらいじゃないの?カカシの技、伝承したのって」
「それは偶々、あいつが俺と似たタイプだったからってだけで」
「でも、サスケはあなたから譲り受けたその雷切と、写輪眼で名を馳せた忍びよ」
「サスケもね、途中から俺の手、離れちゃった子だしねぇ」
「それでも、あの子大蛇丸からのものって使わないじゃない?」
ん、まぁ。麒麟はなんか封印してるしなぁ。そりゃ、写輪眼の使い方とかもちょっとは教えたけど、さ。俺なんかより全然大筋な子だし。俺以上のもんだしさ、あれは。雷切だって、千鳥って名前つけて可愛がってくれてるみたいだけど、ね。
「あのうちはサスケを育てたってだけで、充分じゃないの?」
「いや、でもねぇ」
あははー、なんて笑って誤魔化したけど。
俺ってば、さ。その唯一、自分の技を教えた子にさ、
手、出しちゃってたし。
ほら、もう教師失格って感じだよなぁ。
「噂をすれば、よ」
すっと紅が指差した方角には、俺のかつての教え子、二人。
仲睦ましそうに、歩いて笑ってる。
きっと、任務を終えたんだろう。報告の後って感じでどこかリラックスしてるみたい。そんなんを見て、良かったなぁと今でも思う。
「じゃあ、私は行くわね」
「あ?なに?これから?」
「そ、任務」
じゃあね、と休憩室から出て行く。その紅に気付いたらしき、教え子のひとり、ナルトは大きく手を振りながら並んでた、もうひとりの教え子だった子の手をとって駆け寄ってなにか話し掛けてる。和気藹々といった雰囲気のまま、ふと紅が馳せた視線の所為で俺がここに居るってことがバレたっぽい。うおっカカシ先生じゃん!と言ってるナルトの声が聞こえて、嬉しそうに笑った横で、微妙にこちらには視線を向けないサスケが明らかに困惑したみたく顔を伏せた。
「カカシ先生っ久し振りじゃん!」
紅の元にいったのと同様に、サスケと手を繋いで駆け寄ってくる。
俺が受け持ってた頃では、想像すら出来ない光景、だ。サスケが里に戻ってきて、早数年。あの頃から一気にナルトとサスケは距離を縮め、今では一緒に暮らしているらしい。ほんと、仲良くなって。
「久し振りだな」
「任務終わったことでさぁ」
「そっか」
「先生は?」
「ん?俺?俺も今先刻、戻ってきたとこ」
つか、相変わらず、だな。
ナルトやサクラとは、偶に極々偶にだけど任務が重なることがある。でも、サスケとはない。それもそうだ。似た、タイプだしね。それは納得できるとこなんだけどさ。サスケが里に戻ってもう数年になるってのに、俺はこいつとほぼ会話したことないというか。実際、目すら合わない。こんな近くに居るってのに、なぁ。嫌われたもんだ。
そんなサスケに気付いているのか、いないのか。ナルトはいつものように楽しそうに嬉しそうに会話をすすめる。サスケの手を握ったまま。
「つかさぁ、カカシ先生。俺ってば、腹減ってんだけど」
「は?」
「折角、久し振りに会ったんだしさぁ、奢って」
「は?」
「サクラちゃんも誘ってさぁ。皆で飯食いに行こうよ」
「お前な」
「さっき、受付んとこに居たから。ちょっと俺誘ってくるってばよ!」
「って、お前な」
ちょっと待っててー!とサスケの手を繋いだまま、こっちの返答を聞かずに一目散に行ってしまうからどうしようもない。
いや、俺は別にいいんだけど、ね。
可愛い教え子だし。お前らだけ、と思ってるしね。
でもさ、サスケは嫌なんじゃない?
「きっと、後悔しちゃってんだろうなぁ」
俺に手、出されたこと。
それを許しちゃったこと。
ナルトが贔屓だと言うように、あの頃よくサスケの修行を見てた。懐かれてんのかな、これと思ったら嬉しくなって。気付けば、うちにまで来るようになってた。もちろん、目的は俺んちにあった巻物の類だ。サスケにその気があったなんてことはない。なのに、俺はなんか勘違いしてたみたいで、ふとぱたりと膝に落ちてきた体温に、ずっと前に捨てたものが蘇ってきて、心を許された気になって触れた。驚いたサスケは、一瞬だけ逃げようとしたけど、結局はいいなりみたく体を許してて。まぁ、なんだ。そーいうことが何度か何度も続いて、ね。あ~俺、やっちゃったなぁなんて思っても後の祭りだったってこと、だ。
真っ直ぐ伸びた廊下の先に、サクラを見つけたらしいナルトが大きく手を振ってる。相変わらず、サスケの手を離さないまま、だ。駆け寄ってきたサクラに話し掛けてるのは、もちろんナルトだけで。でも、時折サスケを見るナルトに答えるかのように、サスケも視線を送る。そこに宿る色は、過去では信じられない程、穏やかで。あ~、俺が昔教えたこと、今はナルトとやってんのかなぁ、とか。そーいうふうに考えてる時点で、教師失格というよりも、人間としてどうなんだろうと思う。あんなことや、そんなことまで教え込んだ。思った以上に、優秀だった。教えたことはすんなりと覚えてくれてさ、それも嬉しくて。色々、教えちゃった意識はある。
「あ~・・」
ほんっと、何考えてんだろうな、俺。
「カカシ先生、ご無沙汰してました」
後悔してんのは俺のほうかぁ、とふかしていた煙草を押し付けたとこでサクラの声。
「ああ、そうだね」
「ナルトに聞きましたよ。折角だから、お鍋しませんか?」
「は、はい?」
「先生の家で。いいでしょ?」
「あ、いや」
「私たちは材料とか買っていきますから、先生は部屋に戻っててください」
「って、俺んち?」
「ナルトも行ったことないっていうし。私も行ってみたいし」
「鍋とかないよ?」
「持参します。任せてください」
「あ~・・・ナルトたちは?」
「一旦家戻って着替えてくるってもう行っちゃいました」
「行っちゃったって、」
「一時間後、先生の家に行くんで待っててくださいね」
にっこり、笑ったサクラはナルト同様俺からの返答など待たずに、駆けて行ってしまった。
いや、いいんだけどさ。俺は、別に。
でも、さ。
「参ったなぁ」
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突発駄文、第三弾(笑)
カカサスになる予定です。
鍋、食べたい…。
「何、言ってんのよ」
呆れたように言い捨てたのは、紅だ。暫くは子育てに専念していたが、近年働かないととまた戻って来た。
「いやぁだってさぁ」
なんとなくぼやきたくなったのには、ちゃんと理由がある。
「なに?新しい子、面倒みろとか言われたの?」
「そうなんだよなぁ」
「仕方ないんじゃない」
「はぁ?」
「まぁカカシ程の忍びを里においておくのは勿体ないけど。それ以上に、先を見据えてのことでしょう?」
「俺はいつまでも最前線がいいんだよねぇ」
「そんなこと言って。目はどうなの?」
「あ~普通よ」
「カカシのそーいうのはどこまで信用していいのか、わからないわ」
「いやいや、マジで普通。最近、あんま使ってないしね」
「火影さまもあんたのことを思ってのことでしょ?」
「それはわかってんだけどさ。それでも、なんか今度引き受けたら隠居って感じがするっつーかなんてーか」
「教育するっていいもんじゃない」
「ま、それも否定はしないけどねぇ。それでもやっぱ、俺は向いてないと思うんだけど」
「元々、そーいうタイプよね」
「そうそう」
「でも、仕方ないんじゃない」
ふふ、と笑う紅からは、また同じ台詞、だ。
「今やナルトは次期火影候補にあがるくらいな忍びになったし」
「あ~でも、ほら。ナルトは早い時点で俺から離れてるしさ。あれは、もう自来也さまの功績だろ」
「・・サクラだって」
「サクラはなぁ・・俺、結構手掛けれなかったっつーか・・ちょっと悪いことしたな、と思ってたんだよなぁ。それでも、あの子は元々基本はずば抜けてたし、チャクラコントロールとかも男共より全然良かったし。自分で道を見つけたすごい女の子ってことだな。ほんと俺、全然だったし。今のサクラがあるのは、一重に綱手さまが居たからだろ」
「じゃ、サスケは?」
「ん、んー」
「サスケくらいじゃないの?カカシの技、伝承したのって」
「それは偶々、あいつが俺と似たタイプだったからってだけで」
「でも、サスケはあなたから譲り受けたその雷切と、写輪眼で名を馳せた忍びよ」
「サスケもね、途中から俺の手、離れちゃった子だしねぇ」
「それでも、あの子大蛇丸からのものって使わないじゃない?」
ん、まぁ。麒麟はなんか封印してるしなぁ。そりゃ、写輪眼の使い方とかもちょっとは教えたけど、さ。俺なんかより全然大筋な子だし。俺以上のもんだしさ、あれは。雷切だって、千鳥って名前つけて可愛がってくれてるみたいだけど、ね。
「あのうちはサスケを育てたってだけで、充分じゃないの?」
「いや、でもねぇ」
あははー、なんて笑って誤魔化したけど。
俺ってば、さ。その唯一、自分の技を教えた子にさ、
手、出しちゃってたし。
ほら、もう教師失格って感じだよなぁ。
「噂をすれば、よ」
すっと紅が指差した方角には、俺のかつての教え子、二人。
仲睦ましそうに、歩いて笑ってる。
きっと、任務を終えたんだろう。報告の後って感じでどこかリラックスしてるみたい。そんなんを見て、良かったなぁと今でも思う。
「じゃあ、私は行くわね」
「あ?なに?これから?」
「そ、任務」
じゃあね、と休憩室から出て行く。その紅に気付いたらしき、教え子のひとり、ナルトは大きく手を振りながら並んでた、もうひとりの教え子だった子の手をとって駆け寄ってなにか話し掛けてる。和気藹々といった雰囲気のまま、ふと紅が馳せた視線の所為で俺がここに居るってことがバレたっぽい。うおっカカシ先生じゃん!と言ってるナルトの声が聞こえて、嬉しそうに笑った横で、微妙にこちらには視線を向けないサスケが明らかに困惑したみたく顔を伏せた。
「カカシ先生っ久し振りじゃん!」
紅の元にいったのと同様に、サスケと手を繋いで駆け寄ってくる。
俺が受け持ってた頃では、想像すら出来ない光景、だ。サスケが里に戻ってきて、早数年。あの頃から一気にナルトとサスケは距離を縮め、今では一緒に暮らしているらしい。ほんと、仲良くなって。
「久し振りだな」
「任務終わったことでさぁ」
「そっか」
「先生は?」
「ん?俺?俺も今先刻、戻ってきたとこ」
つか、相変わらず、だな。
ナルトやサクラとは、偶に極々偶にだけど任務が重なることがある。でも、サスケとはない。それもそうだ。似た、タイプだしね。それは納得できるとこなんだけどさ。サスケが里に戻ってもう数年になるってのに、俺はこいつとほぼ会話したことないというか。実際、目すら合わない。こんな近くに居るってのに、なぁ。嫌われたもんだ。
そんなサスケに気付いているのか、いないのか。ナルトはいつものように楽しそうに嬉しそうに会話をすすめる。サスケの手を握ったまま。
「つかさぁ、カカシ先生。俺ってば、腹減ってんだけど」
「は?」
「折角、久し振りに会ったんだしさぁ、奢って」
「は?」
「サクラちゃんも誘ってさぁ。皆で飯食いに行こうよ」
「お前な」
「さっき、受付んとこに居たから。ちょっと俺誘ってくるってばよ!」
「って、お前な」
ちょっと待っててー!とサスケの手を繋いだまま、こっちの返答を聞かずに一目散に行ってしまうからどうしようもない。
いや、俺は別にいいんだけど、ね。
可愛い教え子だし。お前らだけ、と思ってるしね。
でもさ、サスケは嫌なんじゃない?
「きっと、後悔しちゃってんだろうなぁ」
俺に手、出されたこと。
それを許しちゃったこと。
ナルトが贔屓だと言うように、あの頃よくサスケの修行を見てた。懐かれてんのかな、これと思ったら嬉しくなって。気付けば、うちにまで来るようになってた。もちろん、目的は俺んちにあった巻物の類だ。サスケにその気があったなんてことはない。なのに、俺はなんか勘違いしてたみたいで、ふとぱたりと膝に落ちてきた体温に、ずっと前に捨てたものが蘇ってきて、心を許された気になって触れた。驚いたサスケは、一瞬だけ逃げようとしたけど、結局はいいなりみたく体を許してて。まぁ、なんだ。そーいうことが何度か何度も続いて、ね。あ~俺、やっちゃったなぁなんて思っても後の祭りだったってこと、だ。
真っ直ぐ伸びた廊下の先に、サクラを見つけたらしいナルトが大きく手を振ってる。相変わらず、サスケの手を離さないまま、だ。駆け寄ってきたサクラに話し掛けてるのは、もちろんナルトだけで。でも、時折サスケを見るナルトに答えるかのように、サスケも視線を送る。そこに宿る色は、過去では信じられない程、穏やかで。あ~、俺が昔教えたこと、今はナルトとやってんのかなぁ、とか。そーいうふうに考えてる時点で、教師失格というよりも、人間としてどうなんだろうと思う。あんなことや、そんなことまで教え込んだ。思った以上に、優秀だった。教えたことはすんなりと覚えてくれてさ、それも嬉しくて。色々、教えちゃった意識はある。
「あ~・・」
ほんっと、何考えてんだろうな、俺。
「カカシ先生、ご無沙汰してました」
後悔してんのは俺のほうかぁ、とふかしていた煙草を押し付けたとこでサクラの声。
「ああ、そうだね」
「ナルトに聞きましたよ。折角だから、お鍋しませんか?」
「は、はい?」
「先生の家で。いいでしょ?」
「あ、いや」
「私たちは材料とか買っていきますから、先生は部屋に戻っててください」
「って、俺んち?」
「ナルトも行ったことないっていうし。私も行ってみたいし」
「鍋とかないよ?」
「持参します。任せてください」
「あ~・・・ナルトたちは?」
「一旦家戻って着替えてくるってもう行っちゃいました」
「行っちゃったって、」
「一時間後、先生の家に行くんで待っててくださいね」
にっこり、笑ったサクラはナルト同様俺からの返答など待たずに、駆けて行ってしまった。
いや、いいんだけどさ。俺は、別に。
でも、さ。
「参ったなぁ」
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突発駄文、第三弾(笑)
カカサスになる予定です。
鍋、食べたい…。
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