日々、散文。好きなもの三昧。ナルトとか野球(巨/人・ワク)とかサッカー(俊/輔)とか(本誌ネタバレあり。ご注意ください)
Posted by りい。 - 2008.11.20,Thu
ゆっくりと開かれる、戸を息を殺したまま、見つめていた。
「いやぁ、すっかり遅くなっちゃって」
少し笑いを含んだ、声が聞こえてくる。
俺が居るこの場所から、入ってきた男の姿は影しか見えない。所謂、死角だ。相手からもそれは同じこと、で。だから、まだ声は笑いを含んだまま、続いている。
「途中ですごい雨に見舞われてさ、こっちも降った?」
だから、ちょっと雨宿りをしててね、すっかり遅くなっちゃ、とそこで声は止まる。戸口から僅か、数歩。ポタ、と数滴の雫だけが時間が動いていることを教えてくれた。数秒間、だった。
え、と口かが象ったまま、止まる。視線だけは凝視するかの如く、俺を見てる。カタン、と遠くから何かの音がしたことに、完全に動きを止めていた男が気付き、改めてといった感じで下から上、ゆっくり殊更ゆっくりと視線が動いた。そうして、一歩ずつ近付いて来る。信じられないような、色を瞳に浮かべた、まま。僅かな距離を残して止まり、俺を包み込むかのように両腕が上がり、触れないまま頬あたりで止まる。
「・・・・サ、」
名前を呼ぼうとしたのだろう。
それは、確認の為、だったのだろうが、その声すら止まった。
遠くからの、違う声の所為だ。
「サエちゃーーーーん」
声の後に、バタバタと煩い足音が続く。
その音につられるように、そちらを見た目の前の男は、はぁ、と溜息のように息を吐いた。
「サエ、ちゃんね」
ああ、そういうこと。
すべてを納得したように、顔を覗き込んでくる。
「随分、可愛くなっちゃって」
そんなこと言いながらも、表情は完全に変わっていった。
いつもの表情を僅かに捨て、真剣みを帯びた瞳へと。
「・・・何を、失った?」
首を傾げて視線を合わせてくる。きっとこれは視覚を確認しているのかもしれない。バタバタと次第に近付いて来る音に目を動かすと、その仕草で、視覚ではないと悟ったのか近付いた影は僅かに下がる。
「あのさぁサエちゃん、なんか着替え貸してほしいんだけ、・・ど。って、カカシ先生?」
「おー。なんか久し振りだなぁ。お前、どこ行ったのかと思ったらこんなとこに居たのね。どうりで探しても見つからないはずだよなぁ・・。ナルト、お前サクラにがっつり謝れよ」
「え?あ?え?え?」
「時間が空けば、お前探しに色々廻ってるみたいよ。本当に女の子に心配掛けちゃ駄目でしょうが」
「あ、マジで?」
「覚悟しといたほうがいいよ」
「うわぁ・・」
腰にタオルを巻いただけの姿で、どうしようという顔をしてる。
「つかさぁ、カカシ先生はどうしてここに居るんだってばよ?」
「どうしてって、ねぇ。この結果張ったの俺だし」
「あ!もしかして、月に数回来る里の人ってカカシ先生ってこと?」
「あ~・・ま、そいうこと」
「あのさあのさっ!俺ってばさぁ、なんで、・・その、」
「どうしてこうなったかってこと?」
「・・・う、うん」
「覚えてないの?」
「なんかこううまく記憶が繋がらないってか・・皆、無事?」
「ああ、皆大丈夫だよ。巻き込まれることなく、ちゃんと戻ってきた」
「そっか、良かったってばよ。・・・で、あのさ、俺なんで、えと、」
ナルトが聞き難そうにしているのは、きっと俺が居るからなんだろう。ナルトには、ここに連れてきた経緯や詳しい状況はなにひとつ話してない。だから、出来ればきっと自分の内側に『九尾』があることは伏せて置きたかったんだろう。
ここは引いたほうがいいか。いい訳ならどうにでもなる。
着替えを、とナルトが言ったからそれを使って、この場から去ったほうが色々と話しやすいだろうし。
と、一歩引こうとした俺に、カカシの意味ありげな視線が向けられた。ふ、と何処か優しく微笑んだ表情はナルトからは見えない。なんだ?と疑問を感じてしまうから、動きは瞬間止められる。その一瞬の隙のような間に告げられた言葉の所為で引くタイミングを完全に逃してしまった。
「サスケ、だよ」
え?
「サ、スケ?」
「そ、お前さ。任務帰りに偶然、音の残党に会っちゃって。その時に、サスケの悪口言われたらしい。ま、俺も聞いた話しでしかないからどんなこと言われたのかなんて、知らないけどな。で、お前は感情を抑えられなくなったってわけ、だ」
「え、ちょちょっと待って。あ、・・・・・うわ、」
「お前、いつもそうだよなぁ。サスケのことになると途端、感情が爆発するってかさ。今までも何度かそーいうことあったけど、大抵切欠はサスケだよな」
「ちょ、カカシ先生!」
「ほんっと、お前。サスケ、好きだよね」
うわ、と一気に顔を上気させたナルトはその場に頭を抱えるようにして、しゃがみ込んだ。可愛いねぇ、とカカシは笑いを含んだ声でその可愛い教え子に近付き、まだ蹲ったままの金髪を優しく撫ぜる。
そうして、ナルトは暫しの刻の後。ゆっくりと、うん、と頷いた。
俺、サスケのこと好きなんだ、と小さく自分に言い聞かせるように、頷いた。
+-----------------------------------------------------------------
ちょっとだけですが、続編でございます。多分、このまま、使います。
サッカー見ながらちょこちょこ書いたのでどっか変かも(オイ)
大変お待たせして済みませんです。ここまで書いたので、もう直ぐ続編ちゃんとUP出来るかな、と思ってます。
少し笑いを含んだ、声が聞こえてくる。
俺が居るこの場所から、入ってきた男の姿は影しか見えない。所謂、死角だ。相手からもそれは同じこと、で。だから、まだ声は笑いを含んだまま、続いている。
「途中ですごい雨に見舞われてさ、こっちも降った?」
だから、ちょっと雨宿りをしててね、すっかり遅くなっちゃ、とそこで声は止まる。戸口から僅か、数歩。ポタ、と数滴の雫だけが時間が動いていることを教えてくれた。数秒間、だった。
え、と口かが象ったまま、止まる。視線だけは凝視するかの如く、俺を見てる。カタン、と遠くから何かの音がしたことに、完全に動きを止めていた男が気付き、改めてといった感じで下から上、ゆっくり殊更ゆっくりと視線が動いた。そうして、一歩ずつ近付いて来る。信じられないような、色を瞳に浮かべた、まま。僅かな距離を残して止まり、俺を包み込むかのように両腕が上がり、触れないまま頬あたりで止まる。
「・・・・サ、」
名前を呼ぼうとしたのだろう。
それは、確認の為、だったのだろうが、その声すら止まった。
遠くからの、違う声の所為だ。
「サエちゃーーーーん」
声の後に、バタバタと煩い足音が続く。
その音につられるように、そちらを見た目の前の男は、はぁ、と溜息のように息を吐いた。
「サエ、ちゃんね」
ああ、そういうこと。
すべてを納得したように、顔を覗き込んでくる。
「随分、可愛くなっちゃって」
そんなこと言いながらも、表情は完全に変わっていった。
いつもの表情を僅かに捨て、真剣みを帯びた瞳へと。
「・・・何を、失った?」
首を傾げて視線を合わせてくる。きっとこれは視覚を確認しているのかもしれない。バタバタと次第に近付いて来る音に目を動かすと、その仕草で、視覚ではないと悟ったのか近付いた影は僅かに下がる。
「あのさぁサエちゃん、なんか着替え貸してほしいんだけ、・・ど。って、カカシ先生?」
「おー。なんか久し振りだなぁ。お前、どこ行ったのかと思ったらこんなとこに居たのね。どうりで探しても見つからないはずだよなぁ・・。ナルト、お前サクラにがっつり謝れよ」
「え?あ?え?え?」
「時間が空けば、お前探しに色々廻ってるみたいよ。本当に女の子に心配掛けちゃ駄目でしょうが」
「あ、マジで?」
「覚悟しといたほうがいいよ」
「うわぁ・・」
腰にタオルを巻いただけの姿で、どうしようという顔をしてる。
「つかさぁ、カカシ先生はどうしてここに居るんだってばよ?」
「どうしてって、ねぇ。この結果張ったの俺だし」
「あ!もしかして、月に数回来る里の人ってカカシ先生ってこと?」
「あ~・・ま、そいうこと」
「あのさあのさっ!俺ってばさぁ、なんで、・・その、」
「どうしてこうなったかってこと?」
「・・・う、うん」
「覚えてないの?」
「なんかこううまく記憶が繋がらないってか・・皆、無事?」
「ああ、皆大丈夫だよ。巻き込まれることなく、ちゃんと戻ってきた」
「そっか、良かったってばよ。・・・で、あのさ、俺なんで、えと、」
ナルトが聞き難そうにしているのは、きっと俺が居るからなんだろう。ナルトには、ここに連れてきた経緯や詳しい状況はなにひとつ話してない。だから、出来ればきっと自分の内側に『九尾』があることは伏せて置きたかったんだろう。
ここは引いたほうがいいか。いい訳ならどうにでもなる。
着替えを、とナルトが言ったからそれを使って、この場から去ったほうが色々と話しやすいだろうし。
と、一歩引こうとした俺に、カカシの意味ありげな視線が向けられた。ふ、と何処か優しく微笑んだ表情はナルトからは見えない。なんだ?と疑問を感じてしまうから、動きは瞬間止められる。その一瞬の隙のような間に告げられた言葉の所為で引くタイミングを完全に逃してしまった。
「サスケ、だよ」
え?
「サ、スケ?」
「そ、お前さ。任務帰りに偶然、音の残党に会っちゃって。その時に、サスケの悪口言われたらしい。ま、俺も聞いた話しでしかないからどんなこと言われたのかなんて、知らないけどな。で、お前は感情を抑えられなくなったってわけ、だ」
「え、ちょちょっと待って。あ、・・・・・うわ、」
「お前、いつもそうだよなぁ。サスケのことになると途端、感情が爆発するってかさ。今までも何度かそーいうことあったけど、大抵切欠はサスケだよな」
「ちょ、カカシ先生!」
「ほんっと、お前。サスケ、好きだよね」
うわ、と一気に顔を上気させたナルトはその場に頭を抱えるようにして、しゃがみ込んだ。可愛いねぇ、とカカシは笑いを含んだ声でその可愛い教え子に近付き、まだ蹲ったままの金髪を優しく撫ぜる。
そうして、ナルトは暫しの刻の後。ゆっくりと、うん、と頷いた。
俺、サスケのこと好きなんだ、と小さく自分に言い聞かせるように、頷いた。
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ちょっとだけですが、続編でございます。多分、このまま、使います。
サッカー見ながらちょこちょこ書いたのでどっか変かも(オイ)
大変お待たせして済みませんです。ここまで書いたので、もう直ぐ続編ちゃんとUP出来るかな、と思ってます。
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