日々、散文。好きなもの三昧。ナルトとか野球(巨/人・ワク)とかサッカー(俊/輔)とか(本誌ネタバレあり。ご注意ください)
Posted by りい。 - 2008.03.16,Sun
銀沖風味。
カラン、カランと高い音をあげたものに、一番驚いたのはきっと俺、だ。
「銀ちゃんスゴイアルよ!きっと、このくそ暑い中たまにのアイスでしか潤せない私たちに神様が与えてくれたプレゼントね!ってことで、私行く。決定アルよ」
「って、おいおい神楽ちゃん。これさぁ、ペアってなってるよ。つか、俺とお前で行くの?勘弁だと思わね?」
「ペアですか。なら、僕と姉上で行ってきますよ。ありがとうございます、銀さん。姉上も喜びます」
「って、おいおい新八くん?なに勝手に決めちゃってるの?」
夏の盛り。真夏。盛夏。炎夏。
暑い最中、食料が尽きたと新八が言い出して、なけなしの金を持って向かったスーパーでもらった、抽選券。たった、3枚だけの其れ。一人一枚の割り当てで、俺が大当たりを引き当てた。
当たったのは、ペア旅行。有名な避暑地。高級な旅館。
つか、俺が狙ってたのは4等の暑い夏こそ、冷たいデザートが謳い文句の甘味食べ放題っつーとてつもなく魅惑的なプランだったんだけどなぁ。
鐘の音が鳴り響いて、大当たり~という高らかな声と共に手渡れたのは、紙切れ。
神楽と新八には悪いけど、瞬間浮かんだ人物が居た。
「譲ってやりたい気もするけど、悪いな。これ、俺が貰うよ。だって、俺が当たったんだもん」
「銀ちゃん。誰と行くつもりあるか?」
「それは大人の事情ってやつだ」
「うわ、なにその言い方っ!」
大人の事情ってよりも、なんだ。なんとなく、不意に浮かんでしまった数日前のこと。
偶然は数を重ねれば、縁になる。
出掛ければ、ばったり出会う。あれ、旦那?と駆け寄ってくるから何処か可愛いと思ってしまうんだ。
そのときは、いつもの黒ではなく、涼しげな色の着物を着ていた、子供。
「今日は休み?」
「へぇ」
「何処か遊びにでもいくの?」
「別になにも」
「なにも?」
「へぇ」
特にすることもなくて、屯所に居るのもと思って出たらしい。
つか、若い子がなに言ってんだか海とか行かないのー?友達とかとさ、と笑った俺に、いつもと同じ笑みで、なんでもないことのように、言うから堪ったもんじゃない。つか、俺の失言だった。きっと、俺が悪い。
「友達なんて居ませんし、海なんぞ行ったのは小さな頃に近藤さんと一度しかないし」
ほんっと、失言だった。ごめん。
気付いていたにも、関わらず。
幼い頃から、あの中で育ったと聞いた。本人からではなく、土方にだ。
ある意味、軍隊のような組織の中しか知らない、少年。
真選組一番隊隊長の名を持った少年だからこそ、年近い子は敬遠する。怖い、と思うから、だ。刀を持つことは許されてない世の中、其れを許された特別階級のような、そんな子。休み、だと言ったにも関わらず、腰には魂が差してある。
「夏休みとかってないの?」
「ま、一応」
「ふーん。じゃ、今度銀さんと何処か行こうか?」
「え?」
「ま、金はねぇから遠くってのは無理だけど。近くで涼めるよーなとことか」
「マジでか?」
「おー、マジマジ」
約束ね、と差し出した小指は否定されることなく、素直に嬉しそうに微笑んだあの子のものと繋がった。
だから、あの子と。
あのあと聞いた夏休みってのは確か、4日後くらいからだったよーな気がするし。
海に近い、場所へと連れ出してあげよう。
意外に何も知らない子を、真夏の風景へと連れ出してあげよう。
「銀ちゃんスゴイアルよ!きっと、このくそ暑い中たまにのアイスでしか潤せない私たちに神様が与えてくれたプレゼントね!ってことで、私行く。決定アルよ」
「って、おいおい神楽ちゃん。これさぁ、ペアってなってるよ。つか、俺とお前で行くの?勘弁だと思わね?」
「ペアですか。なら、僕と姉上で行ってきますよ。ありがとうございます、銀さん。姉上も喜びます」
「って、おいおい新八くん?なに勝手に決めちゃってるの?」
夏の盛り。真夏。盛夏。炎夏。
暑い最中、食料が尽きたと新八が言い出して、なけなしの金を持って向かったスーパーでもらった、抽選券。たった、3枚だけの其れ。一人一枚の割り当てで、俺が大当たりを引き当てた。
当たったのは、ペア旅行。有名な避暑地。高級な旅館。
つか、俺が狙ってたのは4等の暑い夏こそ、冷たいデザートが謳い文句の甘味食べ放題っつーとてつもなく魅惑的なプランだったんだけどなぁ。
鐘の音が鳴り響いて、大当たり~という高らかな声と共に手渡れたのは、紙切れ。
神楽と新八には悪いけど、瞬間浮かんだ人物が居た。
「譲ってやりたい気もするけど、悪いな。これ、俺が貰うよ。だって、俺が当たったんだもん」
「銀ちゃん。誰と行くつもりあるか?」
「それは大人の事情ってやつだ」
「うわ、なにその言い方っ!」
大人の事情ってよりも、なんだ。なんとなく、不意に浮かんでしまった数日前のこと。
偶然は数を重ねれば、縁になる。
出掛ければ、ばったり出会う。あれ、旦那?と駆け寄ってくるから何処か可愛いと思ってしまうんだ。
そのときは、いつもの黒ではなく、涼しげな色の着物を着ていた、子供。
「今日は休み?」
「へぇ」
「何処か遊びにでもいくの?」
「別になにも」
「なにも?」
「へぇ」
特にすることもなくて、屯所に居るのもと思って出たらしい。
つか、若い子がなに言ってんだか海とか行かないのー?友達とかとさ、と笑った俺に、いつもと同じ笑みで、なんでもないことのように、言うから堪ったもんじゃない。つか、俺の失言だった。きっと、俺が悪い。
「友達なんて居ませんし、海なんぞ行ったのは小さな頃に近藤さんと一度しかないし」
ほんっと、失言だった。ごめん。
気付いていたにも、関わらず。
幼い頃から、あの中で育ったと聞いた。本人からではなく、土方にだ。
ある意味、軍隊のような組織の中しか知らない、少年。
真選組一番隊隊長の名を持った少年だからこそ、年近い子は敬遠する。怖い、と思うから、だ。刀を持つことは許されてない世の中、其れを許された特別階級のような、そんな子。休み、だと言ったにも関わらず、腰には魂が差してある。
「夏休みとかってないの?」
「ま、一応」
「ふーん。じゃ、今度銀さんと何処か行こうか?」
「え?」
「ま、金はねぇから遠くってのは無理だけど。近くで涼めるよーなとことか」
「マジでか?」
「おー、マジマジ」
約束ね、と差し出した小指は否定されることなく、素直に嬉しそうに微笑んだあの子のものと繋がった。
だから、あの子と。
あのあと聞いた夏休みってのは確か、4日後くらいからだったよーな気がするし。
海に近い、場所へと連れ出してあげよう。
意外に何も知らない子を、真夏の風景へと連れ出してあげよう。
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